投稿日:2023.01.05 最終更新日:2023.02.07
丈夫な家づくりのヒント!長持ちする建物と二つの工法
今回は長持ちする建物とその二つの工法について紹介します。
現在も残っている日本古来の代表的な建築物として挙げられるのは奈良県東大寺の「正倉院」。
西暦756年に建てられていて、1300年近く長持ちしているんです!
もちろん、その姿は美しいまま・・・。
木だけしか使っていないのになぜ今日まで崩れていないのか、
その理由は建物の造り方にあります。
正倉院で使われているのは「板倉造り」。
杉の柱に溝をほり、杉板を落とし込んで板壁を作ることで基本的な構造を造る工法です。
杉の粘り強い性質を活用した丈夫な構造で、耐震性は◎
さらに杉板の構造材がそのまま仕上げ材になることで、調湿効果のある木の良さを最大限に活かすことができるのです!
正倉院はこの板倉造りという工法で建てられたからこそ、
湿度が高く地震が多い日本でも1600年という長い間その姿を保ち続けているのです。
次に紹介するのは「桂離宮」。
1615年前後に完成したとされ、創建以来火災に遭うこともなく、ほとんど完全に創建当時の姿をとどめている貴重な家屋です。
桂離宮で採用された工法は「数寄屋造り」と呼ばれています。
建材として柱や床板には竹や杉丸太、板材には桑の一枚板が使われることが多く、
壁も白壁は採用せずに原則として土壁仕上げ。
木と土でできた家は通気性が良く、気温も湿度も高い日本の夏に最適です◎
この利点から江戸時代には全国的に広く数寄屋造りの家が建築されました。
「木は腐って長持ちしない」と考えがちですが、木材のみを使って安価な断熱材を使っていなければ、外気との温度差がほとんどありません。
気密も低いので内部結露も起きず、家は長持ちします。
伝統的な工法に則ればいくらでも長持ちするのですね。
紹介した二つの建物は、日本の四季や使う材料が年月を経って変化することを想定して建てられているので、
今の建物とは比べ物にならないくらい丈夫に長持ちしたのです。